特定非営利活動法人 鳳雛塾

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14期の議事録(ディスカッションの内容)

第2回 ビジネススクール鳳雛塾議事録

日時:2012/08/31(金)19:00〜21:00
会場:iスクエアビル 5階 大会議室 (佐賀市駅前中央1-8-32)
講師:秋満直人氏
◆ケース:「蠡膣櫃留超伐革」
◆設問
 1)百貨店業界の共通課題を整理してください。
 2)奥田社長による改革の是非を検討して下さい。
 3)大丸の現在の課題(ケース時点)を整理し、どう対処すべきか考えて下さい。

◆開講挨拶(横尾事務局長)
◆ケースメソッド授業(秋満講師)・・・自己紹介
◆グループ討議(4〜5人)
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◆ディスカッション
講師:最近デパートに行きましたか?
H1:東京の日本橋M社本店。
講師:本店はVIP専用の入り口があり絨毯が引かれている。 エントランスホールも違っていて豪華を超えて圧倒される。他はどこか行かれましたか?
K1:小倉ID社。
S1:大阪の大丸梅田店。
B1:T社に行きました。
講師:質問を変えましょう。1年間デパートで何回買い物をしますか?1年に1回も行かない人、デパートに用が無いと言う人は?
N1:行きません。
講師:なぜ?
N1:近場で済むから。
講師:逆によく行く店は?
N1:大和J社。
講師:J社楽しいよね。私もそう思います。じゃー、年に1回と言う人。
H1:はい。
講師:行く時が決まっていますか?
H1:ふらっと入るので時期は決まっていない。
講師:みなさんどんな物を買いますか?
講師:毎年行く日が決まっている?
K2:決まっていない。
講師:先月はたまたま入って?
K2:いや、先月は結婚式のお祝いを買いに行った。
講師:どこへ?
K2:大丸です。
講師:他には?
O1:私も先月贈り物をするのにT社に行きました。
講師:お二人とも贈り物ですね。
Y1:商品券を買いにいきました。
講師:やはり贈り物ですね。
Y1:もらった商品券を使うためにです。
講師:1年間に2・3回くらい行く人?
M1:贈り物を買いにいきます。
講師:やっぱりギフト。お中元か、お歳暮ですね。それ以外は行かない、なぜ?
M1:面倒くさい。
E1:バーゲンがある時に行きます。
講師:I社時代にお客さんが多い時期(ボリームゾーン)を調べたことがあります。一番メインとなるお客さんは、年に2・3回デパートに来くる人が多い。ボリームゾーンはお中元・お歳暮のギフト時期か、夏・冬バーゲンの時期。それ以外は冠婚葬祭で贈り物が必要になった時にデパートに来る。では頻繁にデパートに行く人? どれ位の頻度で行くのか?
B1:僕は月一位で行きます。
講師:何を買いますか?
B1:デマ地下好きですね。カレースパイスと、T社のパン屋さんに行きます。町の中にパン屋が無いので、欲しいパンを買うために行きます。
講師:食料品を買われる方は頻度が上がりますね。
B2:私は月2・3回で、ほとんどデパ地下です。月1回は〇〇でそれを買います。
講師:他は?
K3:最近よく博多とか天神に行く機会が有って、関西に住んでいた事もあってH社が大好きなので行きます。
講師:何を買われますか?
K3:化粧品やちょっとして小物を買います。
講師:婦人雑貨ですね。
S1:出張の時はほとんど行きます。仕事柄でやっている訳ではないが、都市部のスイーツとかなずそこにしかない物がある時に行きます。必ず一品買います。
講師:H社は食品に関しては、品揃えも含めて素晴らしいですね。
H1:僕もT社の地下によく行く。上の階は子供にちょっと良い物を買ってあげたいときに行く。
講師:普段は西○屋で良いと。
H1:そうですね。ちょっとお土産をあげる時に行きます。
講師:皆さんがお話になったように、デパートに大部分が余り行かないのが実際。スーパーやコンビニには頻繁行く。それに対してデパートに行く頻度はどんどん下がっている。百貨店の売上は景気の先行指標に使われるが、ずっとマイナスが続いている。構造的に不況が続く業種を“構造不況業種”と言います。この筆頭格が百貨店で、20年ぐらい前から言われている。

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講師:百貨店の共通の課題は?
H1:消費の中心が郊外のショッピングセンターにシフトした。
講師:消費者が郊外に行くのはなぜですか?
H1:車で移動するから。
講師:車を使う理由は?
H1:荷物の持ち運びが便利。
講師:荷物を持ち運ぶ場合に都市部では歩き回らなければならないし、駐車場代が高い。お客さんの動向が都市部から、どんどん構外に移っている。
S1:売り場や商品が取引先任せで、どのデパートも同じになっている。
講師:同質化していると。
S1:どこに行っても目新しさがない。
講師:コンビニもどこでも同じでは?
S1:百貨店は新しもの目当てに行くが、最近は衣料品であっても同じ大丸なら全部同じ。
H1:大丸って近くにないですよね。
S1:僕は大阪とかに出張しますから。
H1:あちらこちら行かれる方は別にして、地元に一店舗しかない場合に福岡と大阪で同じでも問題ないのでは。
S1:質の違いはある。T社と大丸ではお客さんの服装や、品揃えも違う。T社ならスリッパ、短パンで行ける。福岡、博多へ行くと考えるし、もう一つ都市部に行くとそれなりの格好をしていないと自分が恥ずかしい
講師:佐賀の場合はT社しかないので比較できないが、博多に行くと比較ができる。天神地区だとI社、大丸、M社の3店舗がある。昔は近くにT社も有った。博多駅には東急ハンズがあり、かなり狭い地区に5つのデパートが犇めき合っている。それぞれ回ってみて、例えば売り場の場面を撮ってみてどこがどの店舗だと分かります? 実はどのデパートも同一化している。取引先に任せだから。他に問題点は?
N2:消化仕入れだと、お客に合わせて仕入れた事がないバイヤーには楽だが、マーチャンダイジング能力が低下する。
講師:同一化した仕入は取引先任せだが、消化仕入れをやっているので商品の熱気が弱くなる。     “マーチャンダイジング”とは簡単に言えば「品揃え」のことです。バイヤーは世界中を飛び回って自分の熱気で良い物を引っぱってくるイメージがあるが、デパートのバイヤーはメーカーが持ってくる物を見るだけ、自分から品物を見て取ってくることはしない。そのためにMD力が落ちている。他には?
B2:大きいブランド商品依存。昔ブランド品は百貨店にしかなかった。ブランド品は百貨店に買いに行くイメージだった。今はブランドの専門点があるので、そちらに行ってしまう。
講師:スーパーブランドが路面展開し競合が発生する。極端な例ではデパートにも展開して、直ぐ近くに路面店も出している。普通だったらカニバリゼーションが起こって食い合いが起こるはずだが、それを無視して出店する。デパートを引払って路面店を出すケースもある。今後はもっと増え、高級品が自ら展開する。
S1:装置産業と言うことで、設備投資がどうしても必要になる。
講師:建物や売場に対する投資が大きい。せっかく稼いでも、ここにお金を注ぎ込む。ここで問題になるのは減価償却費。減価償却費とは、車は買った時が一番価値が高い、そうして段々価値は下がる。買い取りしてもらうと、買い取り価格は下がる。この価値が落ちる分が減価償却。     価値が減っていく分を経費として上げていく。車の場合4年間で価値が0になる。100万円の車は毎年25万円分価値が下がる。この25万円分を毎年損金として利益から引く。立派な物を作れば作るほど価値が高いから減価償却費も増えていく。百貨店は投資が半端なく大きい。改装(リモデリング)は一つの商舗で数億かかる。中でも金がかかるのが有名ブランドの改装。他には。好きなブランドは?
I1:ヴィトン。
講師:ヴィトンは偽物が多いけど、本物は作りが丁寧で丈夫。ヴィトンなどの有名なところは、メーカーが主導権を握っている。普通のメーカーはデパートの意向を踏まえつつ店舗の設計を行う。それに対して有名ブランドメーカーは自社の方針を曲げない。また、困ったことのメインデザイナーが交替する毎に改装する。減価償却する前に改装し、その負担はデパートがする。利益率は粗利益(売上総利益率)で多分15%以下です。売上総利益率はお客さんに物を売って出た売上から、売れた分の仕入を差し引いた金額が売上総利益(粗利益)です。大丸の売上総利益は2001年で25.6%です。これは全部の売り場を平均して25.6%で、売上総利益の高いアパレルとかは経費が少なくて50%くらいです。それに対してグッチとかヴィトンは全部15%くらいです。売り上げはでかいが、経費が大きいので利益率が低い。私がI社にいた時、ヴィトン1店舗で売上は10億単位稼いでいた。良い物を買うためにデパートに行く。良い物の代表はブランド品です。デパートに行ったのにも関わらず、そう言ったブランドが無ければますます来なくなる。でも、さっき言いた様に痛し痒しなんです。中々厳しいのが現状です。
W1:逆にリストラとか、事業の縮小のやり方はないのか?
講師:百貨店業界は保守的です。とにかく変化を嫌う。IY社堂の鈴木会長は「流通とは変化対応力だ」だと言った。世の中の変化に対応していくのが流通だと言った。ところがデパートはさっぱり変わっていない。何故でしょうW1さん?
W1:こうあるべきだが有るのではないか。
講師:皆さんはどう思われますか?コンビニとか歴史的に見て売り場の展開や品揃えが変わってきている。スーパーも変わってきている。しかし、デパートはほとんど変わらない。皆さんが子どもの頃のデパートと、今のデパートで違いはありますか?
M1:遊び場が無くなった。
講師:昔のデパートに比べて無くなった物が幾つかる。一つは屋上に有った遊び場が無くなった。何故かと言うとメンテナンスが大変だから。それに少子高齢化で遊ぶ子供が減った。今も子供は遊園地などエンターテインメント施設へ行く。ファミリーレストランが無くなった。かわりに有名レストラン・料亭が入った。昔ながらのデパートが経営したファミリーショップが無くなった。まだ有ります。そこそこ人気はあるが、思ったほど売上が上がらない、しかも利益が少ない。客寄せには一応なる。
O1:エレベーターガール。
講師:エレベーターガールは昔、正社員がやっていました。今はほとんど派遣。無くなったのは本屋とレコード屋です。人は集まるが買わない。本やジャケットが傷むだけで、売り上げにならない。変わったのはそれくらいで、後はほとんど変わらない。ブランドは多少変わるが後はほとんど変わらず保守的。何故かと言うと、一つは保守的なお客さんがターゲットであること。デパートの品物は高いでしょう。お客さんが金持ちで、金持ちは保守的になる傾向が強い。百貨店は流通の大様との自負を持ちプライドが高い。殿様商売。これらの問題は、どの百貨店にも判で押したように同じ。
講師
・高地代家賃
I社の本店があった天神1丁目は福岡で一番地代が高かった。一坪3万円くらいしていた。良い場所に建てないと客が集まらない。
・豪華な設備投資
間違ってもトラ○○○の様なバラック小屋は建てられない。売る物が高くて高級品なので、それに見合った設備が必要。I社の壁や床の材料は化石が埋まった大理石。
・高人件費
従業員が多い。スーパーに比べて同じフロアー面積内の店員が多い。店員が多いのはブック○○とデパートくらい。ブック○○の場合は万引き防止。デパートは売込のために多くに店員を配置。    でも今のお客はしつこく売込は嫌う。
・低売上総利益率
高い物を扱っている割に儲けが少ない。委託販売(消化仕入)でますます利益率が下がる。
講師:何故、委託販売(消化仕入)になると利益率が下がるのか?
H1:在庫を抱えるから。
講師:買取仕入と消化仕入の違いは、在庫権がどちらにあるか。買取仕入はメーカーから買い取るから、在庫権が百貨店にある。だから在庫をどう扱おうと百貨店の自由。消化仕入は在庫権がメーカーにある。売れた分だけデパートが仕入れる。在庫リスクがデパートの無い。その辺りは便利なので利用する。それぞれメリット、デメリットはありますが。委託販売で店舗が同一化したとか、消化仕入で品揃え能力も落ち、利益率も下がってきた。でも殆どのデパートが消化仕入の割合が高い、何故か?
K2:在庫を持つ必要がないので、借入れをしなくて済む。
講師:在庫を持たないメリットは?
K2:棚卸した商品や材料を自分達が持つ必要がないので、運転資金がいらない。
講師:自分達が在庫を持つ必要がないと言うことは、売るもの在庫がいるためにお金を払う、そのための資金が必要がない。売れた分だけ払えばいい。売上から仕入に掛かったお金を払えばよいので、仕入が非常に楽になる。
H1:商品が売れなかった時に、商品の入れ替えをメーカーが勝手にやってくれる。
講師:売れ残った場合に在庫を処分する必要がない。メーカー側がある程度処分してくれる。買い取った物が売れ残った場合は恐怖ですね。特に清水さんの様に食品を扱われていると。大量に作って売れれば良いが、余った時の恐怖感がある。捨てなければいけない。特に食品の場合は賞味期限が短いから。ファッション商品の賞味期限は?
H1:季節ごと。
講師:流行の色は「インターカラー(国際流行色委員会)」で2年前に勝手に決める。基本的にはワンシーズンなので、そのシーズンで売ってしまわないと商品価値がなくなる。春に流行った女性のカボチャ型のパンツは今ほとんど見ない。女性のファッションは変化が早い。男性のファッションも結構変化している。スーツは同じに見えるが、毎年変わっている。何が違うかと言うと、襟の部分の角度や切込みが違う。ファッション商品も残ってしまうと価値がなくなるので、翌年には在庫ゼロにしなければならない。売れ残るとその分がマイナスになってしまう。その点売れ残って大丈夫なのが消化仕入で、メーカーがコントロールしてくれる。デパートの在庫管理が楽なので利用する。
O1:精神的部分でのメリット。メーカーの方が商品に対してプロであって、百貨店側は、ただ卸して売っているだけの立場上メーカーに任せるのが最善。
講師:品揃えや、販売員も派遣している。デパートの立っている販売員は、委託先の販売員です。オン○○○○山だったら、オン○○○○山の社員です。デパートの社員は立っていない。デパートの社員はレジをやっている。どう考えても売上を稼ぐ方が価値高いですよね。それをメーカーに振っている。何故か? 楽だからです。委託販売は大変です。本社から売上のプレッシャーがメーカーにガンガン掛かる。デパートの社員は言われないから保守的。別に買われなくてもいい。消化仕入は麻薬みたいなところがある。色んな問題はあるが、デパートのオペレーション上から言えば極めてリスクが低くて楽です。その一方元々あった百貨店の面白さみたいなものが無くなった。こう言う中で何とかしようとしているのが大丸さんのケースです。

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講師:今のデパートは「儲かりにくい体質」が出来上がっている。儲かっているか、儲かっていないかは会計数字を見れば分かる。経営を考える場合は数字を無視して考えるのは論外。全ての計算の基は売上高から算出する。今みなさが見ている25.6%は大丸が品物を売って、売れた分の品物を仕入れ価格(売上原価)を引いた分です。これが売上総利益です。仕入れた分以外あらゆるコスト(人件費、広告宣伝費、水道光熱費、地代・家賃など)は売上総利益から引きます。流通の場合は売上総利益を重視する。売上総利益から色んな経費を差し引くと営業利益。売上総利益から引く分を販管費(販売費および一般管理費)と言います。営業活動をやっていると色々とお金がかかる。デパートの場合は、店舗運営にかかるありとあらゆる経費を差引くと営業利益です。営業利益が本業の利益です。この段階で赤字と言うことはかなりヤバイ状態。店舗を普通に運営していて赤字と言うことです。これは非常にまずい。営業外収支は営業外収益を足して、営業外支出を引いて残るのが経常利益です。これが金融収支です。経営をしていると銀行でお金を借り、逆に貯金をしたりします。貯金をすれば利息が付きます。利息はプラスとなり営業外収益になります。別に物を売って儲けた金ではないので、貯金利息や株式投資配当金こう言った収益はプラスします。逆に借入れをしていると支払利子が発生します。こう言うものを差引くのが営業外支出。営業している場合の金融に関する収支が営業外収支です。営業利益から営業外収支を差引いたのが経常利益です。経常の言葉が示すと様に、企業は金融機関と取引をするとその利益が発生します。企業の強さも見る時には営業利益よりは経常利益を見た方がいい。この場合赤字と言うことは、借入れ等もひっくるめて利益が出ていない。昔の潰れる寸前のダイエーがその状態だった。ダイエーは売上が落ちていたが営業利益は黒字だった。ところがバブルの頃に店舗をドンドン作ったために、その時の銀行の借入金が多すぎて赤字で経常利益はマイナスだった。その結果ダイ○ーはダメになった。
経常利益から特別利益を足して、特別損失を引いた残りが税引前当期利益です。特別(スペシャル)とはその年だけの事情で発生する損益です。例えば今回の福岡県や佐賀県の水害です。定期的に起こるものではあるが、いつ起こるか分からない。その年だけの事情で出た損失が特別損失、その時だけの事情で得られた利益が特別利益です。その年だけ得られる特別利益とは、今まで持っていた会社の資産を売ってしまった場合など。その辺りを差し引きして残ったものが税引前当期利益です。税金の計算はここがベースになる。
ここ税引前当期利益から法人税などを差引いたのが当期純利益です。株式会社の場合は株主総会に掛けて利益の分の処分案をだす。一つは株主への配当金、もう一つ役員の賞与になる。役員には基本的にボーナスは無いが、利益が出て株主の了解が得られればボーナスがもらえる。後もう一つは内部留保、会社の儲けとして貯金しておく。この内部留保(会社の取り分)増えると資産になる。いい会社は売上が増えて、利益が増えて、増えた利益の部分が資産として増える。そして会社の規模が大きくなるのが理想的な姿です。これが会計の仕組みです。
大丸の指標を見ると面白い。過去5年間のどう推移していますか?売上は落ちています。売上総利益は?
H1:いちばん最初に比べると落ちているが、増えています。
講師:どちらかと言えば回復基調です。営業利益は、増えていすね。しかも間に入っている販管費の額は、売り上げの額の伸びより低い。販管比率は上がっていすが、何とか抑えている。なので営業利益は増えている。経常利益は?
H1:上がっていますね。
講師:上がっています。となれば当期純利益は上がっていると思いきや、最後は赤字になっていますね。それを見るには経常利益と当期純利益の間に有る特別収支を見る。特別収支で大きいのは退職給付会計基準変更があります。これは会計基準が変わったからです。昔は辞めた人が退職金をもらう時に、経費として出していた。ところが会計基準が変わって、将来発生する退職金を会社として積立てる様に変わった。この積立てるお金の不足分が特別損失として出てきた。結構大きいですね。デパートはそれまで退職金の積立をやっていなかった。これはこの年だけの事情なので、多分次の年は元に戻る。全般の傾向として当期純利益も増える傾向にある。これからお話しする大丸の営業改革の結果なにが起こるかと言うと、基本的には売上高を下げながら利益をアップさせた。つまり、経費を下げたのが大丸の営業改革です。奥田改革は合理的なメリカ型の経営。売上高ではなく、利益を有する経営を目指そうとした。今までは消化仕入に代表される様に、利益を犠牲にしてでも売上高を増やそうと言う経営だった。ところがそれを切り替えよう、逆にしてようとした。具体的には、
・早期退職実施
・赤字店舗閉鎖、海外店舗撤退
・4つの改革(営業・人事・外商・後方)
・売上維持・営業利益率1.1%UP4年後に実現
大丸の売上規模は8千億円ですから1%で80億円ですね。利益率が1%UPすると8億円増える。ほんの数%でも額が大きい。
・売上分類(24パターン)ごとに標準化、店頭業務の再設計
24パターンのマニュアル化と、店頭業務の再設計を行った。この改革は大成功、大失敗、良い面と悪い面があると評価は分かれます。皆さんはどう思いますか?
S1:僕はさすがだと思う。1997年から1999年にかけて経常利益率も大幅に上がっているし、売上総利益率も上がっている。改革を実行するスピード化がさすがだと思う。
講師:他の方は?
H1:左側の4つの項目なのですけど、体質改善で高コストは少し改善されて利益は出る様になったが、売上が落ちるのは変えられない。コスト削減だけでは限界がある。何れ、また同じ問題にぶち当たる。そこは根本的な改善はされていない。この部分が今後の課題になるだろう。
講師:確かに方針通りの結果だが、売上は増えていない。そこが問題ではないかと。そう言う意見もありますが、他には?
B1:元々の営業利益率が低かったので、改革によって利益が出る様になったのは高く評価できる。もう一つの課題としては、ショッピングモールや路線展開する専門店にする対抗策が抜けている。この対策の同時にやるべきだった。
S1:この改革は大丸の財務内容が良かったから実行できた。原資(株や不動産など)有ったから実行できた。日本航空と一緒で大幅なリストラをして、負債債務整理を行って利益が出ました。今後、成長するには店舗の展開や、減らした人員でどうやって集客をはる等の課題は出てくるとは思うが、アメリカ的経営感覚(保守的でない)を持った人だから思切った改革が出来たのだろう。
O2:この時期(ケースの時点)では大丸に必要な改革だった。改革をしていなければ会社を維持するのも大変だったろう。しかし、チェーン・オペレションやマニュアル化を推し進めれば、現場の人間の働く意欲や総合的に協力する気持ちは低下する。また、革新的なアイデアを生み出し力も低下する。次にどうするかと言う時には、この改革では対応できな。
講師:今出たチェーン・オペレションにつて説明です。これはスーパーマーケットが多面展開する時に、各店舗がチェーンで繋いで標準化してコストを下げる考え方。スーパーはチェーン・オペレションで成長した。デパートはやっていなかった。大丸は店舗の差は無いが、運営は個別に行っているので非常に効率が悪い。奥田改革がやっているのはチェーン・オペレションをやろうとしている。奥田改革は実は成長戦略と言えないでしょうか?
H1:客層が求める価値と合うかどうか。チェーン・オペレションはスーパーは有効かも知れないが。
講師:チェーン・オペレションはスーパーには有効だが、デパートには向かないと。
H1:デパートがつまらなくなる。
講師:スーパーはつまらなくていいのか?
H1:100均の物と、ブランド物を買うのは違う。客の判断基準が違う。
O2:予備品とか買回り品とかの身近な物はチェーン・オペレションの流通形態でいい。コンビニとかでもいい。
講師:日常品は家から近い方がいい。
O2:チェーン・オペレションはどうしてもマニュアル化していくので、専門品とかの人を刺激してワクワクさせるサービスには適さない。
W1:チェーン・オペレションによる標準化が肯定的に受けとめられていないが、売り場ごとにバラバラではノウハウの蓄積がない。標準化で社員が良いやり方が分かり、同じ目線でものを見る様になったのが良かった。
講師:標準化のメリットは効率化。売上でなく利益を伸ばすと言う事は、経費を減らす、経費を効率的に使う事。いくつかの意見がでた様に、効率だけ話で売上高と言った効果を見ていないのではないか。でもスーパーの様に効率を追求する事で、少ない人員で仕事を回し、人件費を減らす事ができる。奥田改革を一言で言うと、標準化を使って大丸のスケールにみあった人件費の使い方を考える。

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講師:この一連の奥田改革の中に成長戦略はあるか?この手の改革に2つパターンがある。
1) 止血 → 成長  :利益が減る状態を止血(止めて)して成長する
2) 止血・成長をセット:止血(ブレーキ)と成長ア(アクセル)を同時
O1:止血と同時に成長に関しては人員配置を大幅に変えた。今まで誰も手を付けられなかった部分を変えて、根本的な改革が出来た。人の使い方を変えた。
H1:成長の観点から考えると売上を伸ばしてナンボなので、バイヤーの評価などの利益につながる力はマニュアル化で作り出せない。マニュアル化では画一化した価値以上の利益は生み出さない。止血と成長を同時にやるのは無理。
W1:先ず標準化で止血をして、それから成長する方がやり易い。
講師:皆さんの意見をお聞きします。2つのパターンのどちらが良いと思いますか?分かれますね。
O2:例えですが、ある学校のクラスが有って、出来る子と出来ない子がいる。クラス全体のレベルアップを図る場合に、出来ない子を中レベルまでアップさ授業をやっていると、出来る子が「こんな授業やってられない」とやる気を無くす。そう言った中で出来る子には別のカリキュラムを用意してやる気を維持させるのが、止血をしながら成長も促すやり方。標準化と人のやる気を起こさせるのを同時に行うのは矛盾しているが、やり方によっては出来たのではないか。
講師:「選択と集中」は成長戦略です。売上が落ちる部門から撤退して、成長が望める部門に集中するのが「選択と集中」。つまりどこで戦うかを決めてそこに集中すれば成長する。赤字店舗を閉鎖して、海外店舗を撤退するのは、「選択と集中」なのか?
H1:プラスのもの同士でやるなら選択と集中、赤字店舗閉鎖と海外店舗撤退はマイナスの戦略なので成長には繋がっていない。
講師:赤字店舗の閉鎖と、海外店舗の撤退を行って残るのは国内の黒字店舗です。選択と集中とは残った店舗の経営資源(人・物・金)を集中することです。このケースは経営資源を投入してますか、できてませんよね。この例は選択と集中ではないと思います。となると奥田改革には成長戦略が見えてこない。だからケースの最後に出てくる色んな課題が出てくる。カル○ス・○ーン氏は何を目指したのか?奥田改革との共通点・差異点を見ていきましょう。
◆ゴーン改革   …祺堝工場の閉鎖   部品メーカーの集約化   H稜篥絞泙虜栃
 ぅロスファンクショナル・チーム(CFT)導入   NEW-QC(QCサークル活動の再開)
 V-FAST,DECIDEの会議体設計   日産リバイバルプランの発表
低稼働な工場をガンガン潰した。部品メーカー数千社あったのを数十社に集約した。自動車産業は富士山産業と言われ裾野が広い。この広い裾野を集約した。こんなことをした自動車会社は初めてだった。トヨタは資本を注入して工作機械を購入させ、そのかわりトヨタだけに納品させるのが
系列会社。日産のも昔は複数の販売店系列があったが、現在はレッドステージとブルーステージの二つ。クロスファンクショナル・チームとは会社の中の色んな職場の人を部門横断で集めて
チームを作り色々議論させ経営判断する。QCサークル活動とは現場主導型の業務改善対策。大丸のQCはしょぼかった。日産はゴーン氏の肝煎りで新しいQCサークル活動が再スタートした。会社の中で会議をする仕組みを再設計しなさいとゴーン氏の指示があった。その会議の方法は本になっている「日産 驚異の会議―改革の10年が生み落としたノウハウ」。東日本大震災の時に全メーカーがストップしましたね。理由は部品メーカーがストップしたからですね。ところが日産は最初に回復した。2011年5月の目標販売台数をクリアーしていた。なぜ日産が一番早かった理由は会議にありました。最後の極め付けはカル○ス・○ーン氏自らが日産リバイバルプランつまり復活プランを発表した。さあ大丸と比べてみましょう。共通点と差異点は?
N2:低稼働工場閉鎖は、赤字店舗閉鎖と同じ。
講師:2番の部品メーカーの集約化は?部品メーカーを集約して売上増える、増えないね。今までA社で作っていた部品をB社にまとめてもコストがかかるので止血。3番の販売店の再編は?
S1:止血。
講師:これも止血ですね。売り方を変えるか、新車を納入しない限り売上はそれ程変わらない。ただ今まで分散していた各販売会社を集約して経費を節約しただけ。5番のNEW-QCは?
S1:成長。
講師:はい、これは成長戦略です。現場の業務改革ですが、ある意味で消費に対する改革です。成長戦略です。6番の会議体の設計は?
S1:成長。
講師:はい、これも成長戦略です。最後の日産リバイバルプランは?
S1:成長。
講師:リバイバルと言う言葉で分かりますね。復活プランです。これを全部やりました。1999年から8年間これをやった。潰れかけていた日産を、ゴーン氏が入った1年目で黒字転換した。借金2兆円有ったのが6千億円に減った。三つのコミットメントを出した。この3つの公約のうち1つでも守れなければ私は責任を取って辞めますと言った。今までこんな公約をされた人はいなかった。何が違うのでしょうか? 一つは成長戦略ですね。特徴としては、上の3つの止血策はトップダウンですね。リバイバルプランも除いた3つは現場主導型(ボトムアップ)です。奥田改革の問題点は全部がトップダウンで、ボトムアップな活動が余り無い。昔あったQC活動もどちらかと言えば衰退している。これが違いですね。大丸は業界の中で高い利益率を誇っているし、百貨店として頑張っている。2001年の営業利益率は2.2%になっていますね。流通毎の利益率を出しているが、他の業種に比べればまだまだ百貨店は低い。何れにしても奥田改革はトップダウンが多くボトムアップが少ない。ただし奥田氏は今の段階では止血で、次の段階では成長戦略を考えているかも知れない。2つのパターンの戦略のどちらでも良いのだが、止血をしている時に成長が見えてこないと問題が起こる。やっぱりやる気が起きてこない。リストラする企業が失敗するパターンとして、リストラばっかりやって次の成長戦略が見えない。だから順番は色々考えられる。止血を先にやる場合も必ず成長戦略を実行する。大事なのは改革の始める段階で成長戦略を描いておくこと。止血ばかり、経費を下げる事ばかりだと現場のやる気が失せる。奥田氏がその辺りを見据えていなかったのか、アピールができていなかったのか、現場の抵抗が出てきた。また、他の問題も発生してくる。「グルト・レイヴァンの改革マネジメント・モデル」と言うのがある。組織と言うのは保守的である。変化に対してはトコトン嫌がる。理由は今までのやり方を続ける方が楽だから。よっぽど切羽詰らないとやらない。レイヴァンの分析によると、抵抗力には二つある。
 2つの抵抗力・・・ ー匆馘慣習・習慣  内面的な抵抗
この抵抗力を克服するのは一つしかない。強力な推進力だけ。奥田改革とゴーン改革の共通点は強力な推進力がいたこと。トップの推進力の顔が見えない会社は変わらない。何だか分からないが回復した会社には必ず推進力がいる。その推進力が増えてくれば改革は加速する。4年間で何十年も変わらなかった百貨店が変わったのは、奥田氏のリーダーシップが相当強かった。具体的に推進力が何をするかをグルト・レイヴァンはこう言っている。
 解凍 → 変化 → 再凍結
今まで染み付いた物を「解凍」する。そして「変化」を加える。今度は新しい変化を「再凍結」する。このスッテプを踏んでいく。よくあるのが「解凍」の段階でグループミィーテイングさせてお互いの意見を言わせる。そうして今までの習慣の間違っている所、変えたい所見つけて雰囲気を盛り上げる。そして色んな変化が付ける。これを現場に根付く様に標準化する。改革マネジメント・モデルからしても、奥田氏の果たした役目は大きい。これだけ変わらなかったデパートがたった4年間でこれだけ変えられたのは凄い。だからマスコミも評価した。実はI社も凄い事をやろうとした。奥田改革は経費を減らすなかで人件費に関わる経費を減らすものだった。I社は売上原価に手を付けた。仕入形態を消化仕入から買取り仕入に全部変えようとした。全国で初めての試み。一部の方からは非常に進んでいる。百貨店の未来像だ。マーチャンダイジングをデパートに取り戻すドン・キホーテになる。結果は買取り仕入の悪いところが全部出た。在庫が余る、価値が無くなる、仕入れ能力が無い、売れないものばかり仕入れるで、ドンドン利益が無くなってきた。これは成長戦略だった。仕入形態を買取りに変えて百貨店自らが差別化した品揃えしていって新しいデパートを作ろうとしたが、結果的に逆効果になった。成功すれば全国で初めての凄いデパートになれた。推進力は有った、トップの中尾氏は一生懸命やろうとした。段階的プロセスを踏まずに、行き成り「変化」に行こうとしたので現場の抵抗が大丸より大きかった。大丸の今後の課題の一番目は、セクト化により自分の担当以外は全部無視する。縦割りの組織になる。セクト化の良い面もあるが何か?
H1:責任を持つ。
講師:自分の与えられた範囲は確り守る。専門性が高められる。悪い面は?
H1:個になる。
講師:自分の所の見方に偏る。全体の協力ができない。二番目は、OJTが中々できない状態になる。三番目は、革新的な売場作りができていない。何故、この様な課題が出てきたのか?原因は何か?セクト化、自分の担当以外の部分は基本的に無視する事が何故おこったか?
H1:評価されないから。
講師:評価されない仕組みになっている?
H1:効率を求める余り、評価ポイントが専門性に偏っている。周辺との協力が評価されないために、評価をされる仕事だけをすれば良いとなってしまった。
講師:そうなのでしょうね。トップダウンの弊害が起こっている。現場で話し合う事が無くなり、自分の担当の内側だけになる。奥田改革はゴーン改革に比べてトップダウンで強烈に進めた。そうしなければデパートは変わらなかった。
M1:人が減っていて他人をカバーする余裕が無くなった。
講師:デパートで起こった大丸の標準化の弊害は、ギリギリの人間とギリギリの調達で回すので余裕が無くなった。もう少し現場の意向を聞いていれば、段階的な進め方もあった。OJTは何故軽く見られたのか?
H1:標準化を進めたから。
講師:標準化絶対視する。マニュアルが全てになる。革新的な事は出来ない。
W1:マニュアル化
講師:奥田改革の目指したのはアメリカ的な合理的な経営です。
合理的な経営とは
 ・売れている物だけを置く
 ・最適な人員配置
 ・売れているブランドを引っぱってくる
スーパーは一時期そうでした。チェーンオペレーションである程度規模の拡大をして、値段を下げて、お客さんを増やして、売り上げを上げてきた。ところがある程度成熟化した結果、どこのスーパーに行っても同じになった。これは合理性を追求した結果、ドンドン同じになってしまった。
 大丸の今後の課題
 .札ト化        トップダウンの弊害
 OJTの軽視     標準化の絶対視の弊害
 3弯慧売場作り   合理化による同質化の弊害
さあ、どれでも良いです。どうしたら課題を解決できますか。革新的な売場を作るにはどうしたら良いですか?ケースの中では専門店化かするか、ライフスタイル提案をするかと言っている。
O2:今回のケースは現代の象徴だと思う。街並み歩いていて、どこに行っても同じ。どこに行っても同じ品揃え。大丸がミクロで見た場合、どう言う事をしてきたか分かった。確かにマニュアル化・標準化は止血には必要だとは思うが、それを全てにしてしまうと人間関係もギスギスするし、人それぞれの動きはコミュニケーションが出来なければ、創造的なものも無くなる。革新的な売場を作り関してもマニュアルに隙間を作って、マニュアルが評価基準なることで従業員が恐を持ってしまう。OJTに関しても、それがやり易いもう一段進化させた形にする。ゴーン改革の様にボトムアップの中から湧き上って来るアイデアを活かした改革を行えばよい。今後はトップダウではなく、ボトムアップすれば、中からもっと面白い改革にしていこうとか、もっと人に対して魅力的にしようとかがでてくる。例えば鹿児島のマルヤガーデンズの様に、フロアーの中に売り場だけでなくガーデン配置したコミュニティスペースを置くアイデアがあれば良い。大丸自らが面白いアイデアをボトムアップ的に生み出せる土壌をトップが作るべき。
講師:博多大丸にはパサージュ広場がある。色んなイベントが出来るスペースで、ここがマルヤガーデンズのガーデンと同じ憩いの広場。I社にはそれが無い。それはNTTの土地なので許可が無いと出来ない。ボトムアップのやり方で、革新的なアイデアが出るような仕掛けを組織の中に作る。つまらなくなったのは、そうしなかったから。
K2:3弯慧売場作りは別にして、.札ト化とOJTの軽視はそれ程悪い事では無い。    大丸が最初にやらなければならないのは止血で、人件費の削減のためにしょうがなくマニュアル化・標準化が第一だった。今は標準化・マニュアル化の弊害が出てきていが、マニュアル化・標準化が悪いのではない。マニュアルは事実の蓄積で、社員がセクション中で直ぐにプロフェショナルになり専門性が早く身に付く。
講師:マニュアルはショートカット。
K2:そこでやることはジョブローテーションなので、人事異動を積極的に行って各部門のプロにいち早くる事が創造性豊かな人員を作ること。後は、その人員で3弯慧売場作って、売上を回復させる。
講師:ジョブローテーションは色んな立場を知ることができる。新しい人が入ってくるとOJTとして機能もする。
N2:マニュアル化・標準化は必要だと思う。お客様に一番近いのは売り場の人間なので、    いくら上の人間がこういう風にしましょうと言っても、お客様のニーズ知るのは売り場の人間。売り場主導の定期的な売場の再編を行って、お客様目線の売り場づくりを行う方が革新的な売り場づくりにつながる。
講師:I社の場合はトップがこうと言えば絶対に変わらなかった。
H1:標準化は仕事の方法を最初に身に付けるには必要。3弯慧売場作りはプロデューサー的な感覚やセンスを持った人と同じことをするのはマニュアルでは難しい。人事制度的に基本はマニュアルのレベルに沿った段階的上がり方を同じにして、管理職になる段階で普通の管理職かプロデューサーの様な専門的な職を選ぶかの複数のキャリアパスを示し選ばせる。
講師:キャリアパスとは経験を積んでどの方向へ進むかの流れのことで、一つは管理職の道、    もう一つは専門職の道。プロ野球で例えれば選手がみんな監督になるのはおかしい。革新的売場作るには一時的に外部から人を引っぱってきてよい。その後が出てこないと継続的革新ができない。だからOJTが必要になる。
S1:会社には風土があり、それを打ち破ろうとしたらああ言う形でしか出来なかった。成長戦略も大切だが、そう言う形に持っていって、働いている人に危機感を与える。今まで余剰人がい過ぎた事が一番の問題だった。何か改革を打ち出せば反論が大きくなる。とりあえず現状で回ってはいる。改革を行うにも原資の問題は避けられなく、やりがいのある職場作りをやる余裕がなく奥田氏のやり方しかない。従業員の意識改革は、それ程重要ではない。従業員を減らしたことで、マニュアル化・標準化をして効率化しなければならなくなった。それによって従業員に危機感を与えれば十分。
講師:大丸の売上は落ちていて厳しい状況。早期退職制度は基本的に1回しか使えない。給料の高い人に声を掛けて「すみません。辞めて下さい。その代わりに退職金多く払います。」と言うのが早期退職制度。ところがI社は早期退職制度を3回行った。理由は辞めて欲しい人が辞めなかった。有能な人から辞めていった。景気の悪い時に有能な人が辞めるのは最悪のパターン。有能な人はどこでも働ける自信があるから辞める。その結果、ぶら下がりが増えた。やはりそこの希望がないと苦しい。I社に残っている人には頑張っている人もいるが、大多数は直ぐに文句を言うタイプ。そう言った人達もいないと組織はまとまらないので、そう言う人達に夢を与えて治める必要がある。小さな夢でもかまわないから。私がI社を辞めた理由の一つはボーナスが無くなったから。もう一つは、当時やっていた営業戦略の仕事で、年度末になるとチラシを打つ金が無くなる。だけど上からは売上を上げろと言われる。やる事が無いから、バーゲンするしかない。ところがバーゲンするにもチラシ打つ金が無い。仕方なくバーゲンをやるが売上は上がらない。バーゲンで値段を下げれば、売上は下がる。現場の人間は問題が分かっている。上の人間も矛盾した事を言っていると分かっている。でも、やらなければならないお互いの辛さ。経営危機に陥らないと分からない辛さです。

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◆まとめ(講師)
課題に対する対策
.札ト化
 ◎日産の手法を取り入れ、部門を超えて取組みを行う。
 ◎クロスファンクショナル・チーム(CFT)やQC活動など。
OJTの軽視
 ◎マニュアルはある程度のレベルをそろえるだけにする。
 例)マクドナルド
 ・全ての店舗で接客が同じ
 ・社会人経験の少ない主婦や高校生のアルバイトでも接客できる
 ・ショットカット一定レベルの接客は可能
 ・高いレベルの接客はできな
 ◎マニュアルは必要だが、マニュアルを絶対視しない。
 例)ある会社で
 ・残業で夕食にハンバーガーを買いにいった
 ・ハンバーガー20個注文
 ・定員は「こちらでお召し上がりですか?」と聞いた
 ・一人で買いにきたのに、その場で食べる訳がない
 ・マニュアル通りでは、応用が利かない
 例)マニュアルを捨てた会社(ユニクロ)
 ・以前は膨大なマニュアルがあった
 ・現場がマニュアル以外の事をやらなかった
 ・マニュアル全部捨てた
 ・もう一度、最初から社員に考え直させた
3弯慧売場作り
 ◎専門店
 ・百貨店で扱うアイティムは約100万
 ・大型店舗なら約300万アイティム以上
 ・これだけのアイティムを集め、管理するのは凄い事
 ・デパートは何でも有るが、買う物が無い
 ・一つのカテゴリに絞ると、今度は大して事に見えない
 ・今まで通りの品揃えや、店舗編成には問題がある
 ◎ライフスタイル店
 ・個人のライフスタイルは多岐
 ・ライフスタイル絞るとターゲットが小さくなる
 ・ターゲットを絞る場合は、同系店舗が集中しないと客が集まらない
   ※専門店とライフスタイル店のどちらも難しいが、新たな戦力の可能性はある
◆終講

 

第1回 ビジネススクール鳳雛塾議事録

日時:2012/08/20(月)19:00〜21:00
会場:iスクエアビル 5階 大会議室 (佐賀市駅前中央1-8-32)
講師:飯盛義徳氏
ケース:「ネット社会と企業経営 〜デマメールによる風評被害への対応〜」
 (当日の様子 http://housuu.sagafan.jp/e535484.html )

◆オリエンテーション
 ◎開講(横尾事務局長)
 ◎鳳雛塾紹介(飯盛講師)
 ◎参加者自己紹介(参加者全員、スタッフ、オブザーバー)
 ◎ケースメソッド説明(飯盛講師)

◆ケースメソッド授業(飯盛講師)
 ◎騒動の概要(省略)
 ◎S行の概要説明(省略)
 ◎2003年の背景(省略)
 ◎騒動の経緯(省略)
 ◎銀行の対応(省略)

◆課題
 1)起こってしまった場合、被害を最小限度にするためにどのような点に留意すべきか?
 2)今後、このような被害をださないために企業はどのような対策をすべきか?

◆ディスカッション
講師:どう言うメカニズムでこの事件は起こったか?
M氏:資本金16億に対して業績予想で196億円赤字のインパクトが普通の人には大きかった。もっと悪くなる可能性もあり、S行が危ないと勘違いした。
講師:一般の方が数字の大きさに驚き勘違いした。
S氏:不明瞭な情報で、正しい情報が分からない。潰れはしないと思っても、自己防衛に走った。
講師:正しい情報はどう伝えるか?
S氏:発表はあったが、一般の方は銀行の窓口で知り本当なのかと疑う。メールはウソでしたと訂正のメールが流れるとか、口コミでデマだと情報が広がるとかすれば沈静したかも知れないが、この場合にはそれがおこらなかった。
講師:嘘だったよとのメールが流れればよかったですね。
O1氏:情報が本当でも嘘でも関係なく、預金を下ろす方が良いと判断して行動した。
講師:噂が本当か嘘かは関係なく、ゲーム理論的には下ろす方が最適。噂が本当なら下ろすのが正しい。噂が嘘だったとしても、下ろしても大きな損害にはならない。
O2氏:遠因だが、S行と預金者の間にちゃんと信頼関係が醸成されていなかった。
講師:S行は地域貢献を多く行っているが。
O2氏:まだ、顧客との十分なコミュニケーションが不足していた。
N氏:信頼関係以前に、他の銀行とか建設会社の状況に顧客が不安を感じて行動した。
講師:他の金融機関もダメだったので、S行でさえダメになるのではと思った。
M氏:良いと思っていた銀行も突然潰れるのだから、公表されていない銀行も危ない。
B1:S行自体が潰れてしまうことではなくて、取り付け騒ぎがあったことでS行の経営が悪化するとか、システムがダウンする可能性がある。だから早めに預金を下ろした。
講師:取り付け騒ぎは昭和2年に起こった。その後に経済が混乱し、昭和金融恐慌が発生した。当時の大蔵大臣が国会で潰れてないT銀行を潰れたと発言し、取り付け騒ぎが発生した。当時は金融システムが未発達で、預金者に払い戻すための紙幣がなかった。それによりますますパニックに陥り、多くの銀行が潰れた。これに大蔵省も危機感を持ち、金融システムの整備を行った。現在では取り付け騒ぎが起こっても、窓口に紙幣を積み上げて顧客を安心させるようにした。
この事例でもS行はそのような対応を行った。
W1氏:年末なので誰もが精神状態が不安定、資金繰りでお金が必要で神経質な空気感が社会全体にあった。
講師:年末の決済や、民間会社・公務員のボーナス日で一番に人が並ぶ日に重なってしまった。
W2氏:取り付け騒ぎは起こってしまったのだから、TVでテロップを流す等のより多くの人が情報を得やすい対応をしていれば、二次的・三次的な混乱は避けられた。
講師:S行の対応が良くなかった?
W2氏:今では地震の速報がTVにテロップで流れる。警察が現地でデマであると伝えれば、市民も安心する。当時のマスコミは慎重な対応を取ったが、市民が情報を得やすいTVやラジオで情報を積極的に流した方が良かった。
K1氏:県民性(土地柄)もあったのではないか。隣県では大して影響が無かった。2000年5月3日の「西鉄バスジャック事件」でも、犯人の家族構成を普通のオバチャンが知っていることもあった。当地はこう言った噂が広がり易いのではないか。土地柄も騒動が大きくなった要因。
Y氏:その要因はあるかも知れない。
講師:カバンや、メガネが変わっただけで直ぐに指摘するオバチャンは多い。

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講師:これらの要因を踏まえて、騒動を最小限に止めるにはどうしたら良いか?
K1氏:色んな布石がある中で、当時チェーンメールの事件が多発していた。2003年初めからS行は業績を下向修正して、顧客の不安が大きくなっている中でチェーンメールに対する警戒をしていなかった。
講師:これは要因ですね。
O1氏:銀行員が言っても誰も信じない。行員以外の場所からの声掛けを行えば、直ぐに沈静化したかも知れない。
講師:行員が大丈夫といくら言っても信じないだろうと。
S氏:会社という組織はトップダウンの形しか取れないので、各支店が独自の対応をすることはムリだろう。コストはかかっても普段から対策マニュアル等を作り、リスク管理を徹底する。
講師:普段から対策マニュアル作るべきだったと。
S氏:対策にはコストがかかるが、S行ならできたと考える。
講師:人が店舗の外まで並び預金を引き出す状態で、現場はどう対応してよいか分からなかった。対応するにも問題が特定できない。そんな中で午後5時ごろに原因がデマメールだと特定できたのは、ある意味で凄い事だった。普通は問題が特定できれば解決できるはずだが、問題から現象までが遠過ぎて解決できない。
今、デマメールの犯人を見つけても問題の解決にはならない。
デマメールは置いといて視点を変え、パニック状態になりつつある状況を沈静化するにはどうすればよいか?
O2氏:記者会見で事態を収拾できないなら、もっと社会的信用が高い人にコメントしてもらう。
講師:金融大臣ではダメだった?
O2氏:S行がこれで潰れるようなら、総理大臣が絶対に大丈夫だとコメントしてもらう。どこまで想定外のことを予測してマニュアルが作れるかは分からないが、総理大臣のコメントは対策になる。
O1氏:このケース事態が最小限の被害で済んでいる。
講師:そう言う見方もある。実はS行は最高の対応をしたのかも知れない。総理大臣で思い出した事例です。石川県羽咋市の神子原集落の米は高地の棚田で作られた高級米です。この米にブランドを付けようと考えた末に思い付いたのが、「神子原 = 神の子の住む高原」で天皇に献上しようとしたが、天皇は御所の田圃があるので断念。次は「神の子の住む高原 =キリストが住む高原」と考え、ローマ法王にお願いしたら受理された。ローマ法王献上米のブランドができた。
K2氏:預金を封鎖すべきだったのでは。
講師:全国的に預金封鎖しないと、どの銀行もマニュアルで決めていたが?
K2氏:今回のケースは銀行が一番の被害者で、通常営業できない状態であれば預金封鎖も信用を失うことは無いし、潰れることもないだろう。
講師:預金封鎖すればパニックにならないか?
K2氏:県警が対応するので大丈夫。封鎖することで500億円の損失は避けられる。
講師:凄くタイミングが悪く、年末に資金需要旺盛な時期だが?
K2氏:どの位で事態が沈静化するかは分からないが、実際に余り長引いていないので2・3日で沈静化すると思う。
講師:どうなるかは実験してみないと分からないので、何が正しいかも分からない。
S氏:1兆7千億円の預金額のS行にとって、500億円は大きな金額ではない。どんどん払い戻しに応じても問題なかったのではないか。
講師:預金額から見れば、500億円は20分の1以下でたいしたこと無い考えもある。
O2氏:預金額1兆7千億円、貸出金1兆2千億円の資産で実際どのくらい取り付けされるとまずい事になるのか?たかが500億円なのか500億円は重たいのか?
講師:銀行の貸借対照表は普通の会社とは逆なので分かりにくい。
Y氏:預金が「借り」になっている。
講師:たいしたことないと言う見方もあるが、ここでは大騒ぎになった。対応を間違えてこのままずるずる長引けば大変なことになる。
O2氏:金融担当大臣が閣議後の記者会見したのが26日で発生から2日経っている。
しかしこのコメントでは国民は信用できない。コミュニケーションの問題だが、もっと大臣などが絶対責任を取ると強い言葉で発言しないと国民は信用しない。
狂牛病の肉を食べたり、貝割れダイコンを食べたり、オスプレイに乗ったりするが、それでは本当に大丈夫かが分からない。これでは逆に懐疑心や猜疑心を感じてしまう。もっと誠心誠意に伝えないといけない。
講師:大臣がS行に自ら預金するくらいのパフォーマンスが必要。しかし、大臣が自らお墨付きを与えるのは現実には難しい。言葉は曖昧だが、S行は大臣のお墨付きをもらったとも言える。
B1:もともとデマメールから始まったので、逆に何もしないことが猜疑心を感じさせない方法ではないか。現場の銀行員が出来るだけ通常営業することが、安心感を与える。「大丈夫です」と言うより、「今日は混んでいますので、少しお待ち下さい」と冷静に言った方が良いのではないか。
O1氏:デマメール専用窓口を設置して、デマメールで下す人はそちらで下させる。
講師:余り大騒ぎすると逆にパニックになるから、何もしないで平常時に状態にする。大騒ぎして否定すると、それが情報の発信源となり騒動が大きくなる。全国でこんな経験をしたのはS行だけで、後日マニュアルが確りしている銀行として全国から視察が相次いだ。
W1氏:マスコミは慎重な対応をしたと書かれているが、もっとマスコミが積極的に安心感を与える報道をした方が良かった。
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講師:今後はこう言ったケースが増えるだろう。既に対応策としてマニュアルは出ているので、それ以外で今後は起こらない様にする対策は?
A氏:僕もその時に銀行に行ってどうしてこんなに並んでいるのかと不思議だった。そうして周りの人からデマメールのことを聞いて事情を知った。その時思ったのは、ペイオフで元本保証は1千万円まで保障されている。銀行が潰れても保護されているので慌てる必要は無いと思った。
ただ預金したお金がどの位で戻って来るのとか、本当に全額戻るかなどを、こう言うことが起こる前に詳しく一般に知らせておけば慌てなくて済んだ。
講師:下ろしに来た人の殆どが1千万円以下の預金者だった。仮にATMで1千万円下ろそうとしても一度に下ろせないので、1千万円下ろせた人はいなかっただろう。だからそんなことになる前にペイオフの仕組みを、一般の預金者にもっと知ってもらう様にすべきだったと。
O1氏:本当に被害を最小限度に抑えるには、預金額の上位20%のお客様には風評被害が起こったら直ぐに連絡が届き、本当に下ろされては困るお客様が下ろさない様にするネットワークを予め作っておく。それが銀行を守るには一番大事なこと。
講師:Y氏さん、これは既に銀行のマニュアルにあるのではないですか。
Y氏:ありますね。
B2氏:SNSや2チャンネル等で風評被害があった時は、見つけ出して叩いて被害が拡大しないようにする。
講師:このケースは実は短くてウォーミングアップに向いている。

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◆まとめ(講師)
 ◎騒動の流れ
・この騒動は佐賀だけで起こった
・現象起こる以前に佐賀県内で悪いことが続いた
・12月になる前からS行が危ないとの噂があった
・もっと色んな会社が危ないとの噂もあった
・女性がメールを送った時には噂が広がる土壌があった
・佐賀商工共済の破綻が大きかった
・県内大手の建設会社が破綻したのもショックを与えた
・そんな時に女性は26人にメールを送った
・それが口コミやメールで拡散
・不安を感じた預金者が引き出しに走った
・銀行に行列ができた
・その行列を見て噂がされに広がった
・メール/口コミ → 引き出し → 行列 → メール/口コミ の連鎖発生

◎騒動の原因
・メールや口コミは止められない
・引き出しを止めることも出来ない
・行列を見せない対策を取れば連鎖が少し緩む
・デマでも本当でもが預金を下ろすことが最適行動
・携帯メールなどのネットは「弱いつながり」だが拡散し易い
・親しい知人などの「強いつながり」からの情報は信じてしまう
・強いつながりと、弱つながり上手に融合して頑健なネットワークを形成

【終了】

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